「ママ、ボク、がんばるから」
レンちゃんは、ママが喜ぶようにがんばる子どもです。
「レン、なぜ、できないの?」
レンちゃんは、体操を習っています。
小さいころから習っているので、比較的、上手にできます。
中学生でも難しい側転はできます。
今、挑戦しているのは、バク転です。
「レン、踏み込みが足らないんだよ」
「手のつく位置が悪い」
「勢いが足らない」
「怖がってはダメ」
って、ママは家に帰る自動車の中で、レンちゃんに話します。
レンちゃんは、ママの言うようにやってみようとします。
でも、なかなかうまくできません。
何度も何度も失敗しながら、練習しています。
ママの期待するように、頑張っています。
でも、うまくいきません。
先生に補助をしてもらっていますが、体操が、嫌になっていくのです。
「ママは好きだけど、うまくいかないし、からだは痛いし、ママの言うようにはできないよ」
体操の習い事に行きたくないので、
「頭が痛い」
「おなかが痛い」
と、言うようになりました。
それでも、ママは、仮病だと思って
「それくらいなら、我慢してできる」
と、無理に連れていきます。
ママが好きな、ママに気をかけてもらいたいレンちゃんは、体操練習をします。
すると、気持ちが入っていないため、けがをしてしまいます。
「手をけがした」
手は痛いし、大嫌いな病院に行くことになったけど、やっと、公に休めると思ったレンちゃんでした。
「体操行くよ。用意して!」
と、けがをしているレンちゃんに話した時にはびっくりしています。
「えっ」
けがをして、やっと体操練習に行かなくていいと思っていたからです。
「レン、早く用意して!」
でも、レンちゃんは、行きたくありません」
もたもたしていると、
「何しているの。あなたをオリンピックに出場させるためだよ」
「ケガをしていたって、見学はできるでしょ」
「早く、行くから」
しぶしぶ、練習の見学に行くのでした。
ケガが治って、練習に復帰できたレンちゃんです。
レンちゃんの他に、体操教室にいる同じ年頃の子は、30人ほどいます。
この体操教室は、過去にオリンピック選手が習っていたこともあって、多くの子どもが来ています。
ママが、うちの子をこの教室で学ぶことで、オリンピックに出場できるかもしれないという希望をもって、習わせているのです。
レンちゃんは、その子供たちの中では、うまくできる方とは言い難く、どちらかというと、30番目ぐらいなのです。
どんなに練習しても、ママの期待に添えるような状態ではありません。
「がんばりなさい。がんばったら、できるようになるから」
「できないのは、練習が足らないからだよ」「やり方が悪いからだ」
「やる気があれば、何でもできる」
「努力あるのみ」
「練習に次ぎ練習、また練習」
「もうイヤだ」
「ママ、もうできないよ」
「許して、ママ」
「できないことで、ママに嫌われるのヤダ」
レンちゃんは、ママに言えずに、がんばってしまいます。
大会に出るたびに、がんばっていますが、希望する得点が出せません。
「次は、高得点、出すんだよ」
ママの一生懸命さは伝わってきます。
「この教室に、いっぱいお金をつぎ込んでるんだから、レンには、それに見合うだけの成績を出してもらわないと困るからね」
そして、
「レン、体操には、いっぱいお金をつぎ込んでいるんだからね」
って、レンちゃんの気持ちをがんじがらめにしていきます。
「ママ、これ以上、ボクできないよ」
「ママ、許して!」
小さいころに、学校で読んだイソップ物語に、「親ガニ子ガニ」という逸話がありました。
正確ではありませんが、私の覚えている範囲ではこんなことです。
よく晴れた青空の朝です。
親ガニの後ろに子ガニが、遅れまいと間を開けないようについていきいます。
親ガニは、子ガニのついてくる様子を見ながら、間を開けないように適度な速さで先導しています。
親ガニは、ゆっくりすぎると、カラスに見つかって、エサにされてしまうので、のんきにゆっくり歩くことはしません。
砂浜が熱くなる今のうちに巣穴に戻らないといけません。
もっと早く巣穴に着きたい、親ガニが、子ガニに向かって、言いました。
「私の大好きな子ガニよ」
「もっと急げないのかい」
「ママ、これ以上、急げないよ」
「もっと急いで、早く戻らないと、脚が熱くなっちゃうよ」
「(しばらく、子ガニを見ながら)あなたは、さっきから見ていると、横歩きしているね」
「そんな横走りをしているから、早く走れないんだよ」
「まっすぐ走れないのかい」
そういって、子ガニを先に行かせました。
それを親ガニは見ながら、
「ダメダメ、まだ横走りだよ」
「ゆっくり、歩いてごらん」
「ハイ」
子ガニは、親ガニの言うように、ゆっくりと歩きます。
「ダメダメ、もっとゆっくり前に進むんだよ」
「もっとゆっくり、もっと、ゆっくり」
「右脚出して」
「次に、左脚出して」
「ママ、右脚が出せないよ」
「どの右脚を出せばいいの」
「ママ、わかんないよ」
「脚を出そうとすると、頭がこんがらがっちゃうよ」
「ママどうしよう」
親ガニは、考えました。
「そうだ。ママがあなたにお手本を見せてあげましょう」
そういって、ママが子ガニの前に立ちました。
「じゃあ、ママがやって見せるから、よく見ておくんですよ」
親ガニが、いつも自分が走っているように、やって見せました。
「どう、速いでしょ」
「やってごらん」
親ガニがやったように、子ガニは走ってっっました。
「ダメダメ、そんなのさっきと変わっていないよ」
「横走りでなくて、ママのように前に走らないと」
「・・・」
「ママのように上手に前に進むんですよ」
「最初は、慌てなくていいので、ゆっくりやればいいんですよ」
「・・・」
子ガニは、親ガニに、そのとき思ったことを伝えることにしました。
「ママ、ママは速いけど、横に進んでるよ」
「ママは、今の前走りじゃあないよ」
「えっー」
まさかと思い、もう一度、素早く走りました。
「今のどうだった」
「ママ、今のも横走りだよ」
「もう一回やってみるね」
そういって、もう一度、素早く走りました。
「どう?」
「やっぱり、横走りだよ」
何度も何度も、ママはやり直します。
ところが、何度やっても横走りです。
「ごめんね」
「ママもできないことを、あなたにできるように無理強いしていたんだわ」
「今、あなたができることを、精一杯うまくできるように、伸ばしていけるといいよ」
そう言って、親子ガニは、仲良く横走りで、自分たちの巣穴に向かっていきました。
朝日は、ニコニコ、親子ガニをあたたかく照らしていました。
親子で、できることを見つけて、いっぱい伸ばしていこう。
ネットで調べてみると、終末の仕方が別のバージョンがあります。
最後の場面で、太陽(神様)が言うのです
「カニは、横歩きでいいのです。それがカニらしくていい」
この逸話は、親ができないことを、子に要求してもできないので意味がないというようにもとれます。
イソップ物語は、エピソードが短いため、作品として盛ろうとすると、どんな教訓にもとれます。
「子は、親の言うようには動かない。親がしているように動く」
といった教訓として、書いてあるものが多いようです。
今回のエピソードでは、子育て心理学協会が推奨する親の姿として、ストーリーを描いています。
まず、子どものペースに合わせて、親の歩みを同じにしていることです。
さらに、子どもに寄り添い、子どもの状態を気にしながら、ともに進んでいるところです。
また、子どもの可能性を、伸ばすようにコーチングしているところです。
さらに、すごいのは、親が、子どもに指摘されて、自分を見つめなおすという点です。
親が子どもの話を逆ギレせずに、素直に聞き、自分を見つめなおすところです。
親ができないことを、子どもにも要求していたことに気づき、子どもに要求していたことを反省していることです。
どうですか。
ふだん、気づけない自分の子育てに関連ありませんでしょうか。
子どもの可能性は無限です。
しかし、子どもにとって無理をさせていることはありませんか?
そんなことを、思い知らせる強運です。
再度、お子さんが、アップアップとおぼれそうになっているところを、上手に手を貸して、足の届くところから、やり直してはどうでしょうか。
LINE@はじめました。
≪頑張るママの「心の癒し」がでできると大好評!≫
子育て心理学協会から、ココロ貯金を貯める子育てのコツ、ママのメンタル安定法、イベント情報などをお送りします。
▼お友達登録してくださいねヽ(^o^)丿
LINE ID @jjf8169h