子どもは、自分は親からほったらかしにされている、
見てもらえていないと感じると、
わざと親に怒られることをやり始めます。
本当は「大好きだよ」「大事な子だよ」と言われたいけれど、
もっと抱っこをしてほしいけれど、今までもされてこなかったし、
今後もどうもその見込みがなさそうだ。
そう判断した場合は、無視されるよりはましだと思い、
わざと怒られる行動に出るのです。
子どもも大人も、いちばん嫌なのは、怒られることではありません。
無視をされることです。ママを困らせたいのではなく、
「無視しないで、こっちを向いて!」というサインなのだと考えて、
早めにココロ貯金を貯めましょう。
4歳の男の子。最近口が悪くてママは困っているそうです。
たとえば、おもちゃを片付けずにいてそれを注意すると、
「バーカ」「そんなこと知るかー」など。
幼稚園に通い始め、さらに言葉遣いが悪くなり、
いくら注意しても、ちっとも変わらない・・・
わざと怒られるようなことをするのは、お母さんに甘えたいからです。
幼稚園に通い始めると、集団生活のなかで、いいことも悪いことも
合わせて学んでくるものです。ただ、いいことはわかりにくく、
悪いことは目立つので、言葉遣いの悪さなどはお母さんの目につくのでしょう。
今後も子どもは、小学校、中学校と集団のなかで育ちます。
そのため、悪い言葉を口にするときには、そのつど言って聞かせる
といいでしょう。子どもは悪い言葉をおもしろがって悪気なく
使うことがあります。
そのため、そのつど言葉の使い方について教える必要があります。
子どもは案外悪気なく悪い言葉を津合っているので、
ガミガミと怒るのではなく、使い方が間違っていることを知らせるだけで
よいのです。根気よく、それを繰り返します。
子どもの言葉遣いと心の安定は、密接に関係しています。
心が荒れているときは、荒れた言葉を口にします。
そのため遠回りのようでも「プラスのかかわり」を増やして、
意識的に甘える時間を作るといいでしょう。
また、片づけができていないということで言い争いになっていますが、
これについては、5分だけでも、一緒に片付けをしてあげましょう。
子どもと役割分担をしたり、どこに何を片付けるのかを、
何度も伝えたりしていくのです。
子どもって一回言っただけでわかるようには決してならず、
何度もそのつど同じことを言うことで、だんだん知識と習慣が
定着していくようなところがあります。
本当に子育ては、根気がいることばかりです。
さらに、片付けが終わったら「きれいになったね、気持ちがいいね」と、
この状態がさらに気持ちいい状態だと教えると、より効果的です。
夫婦って、ほとんどの場合、子どもが生まれるまでは、
子育て力にさほど違いはありません。
しかし、何事もそうですが、長い時間やっている人のほうが上手になるものです。
仕事も勉強も習いごとも、実際に練習した時間に比例して、
成果が出るのが一般的です。
だからいろいろと試行錯誤しているママのほうが、
パパよりだんだんと子育てが上手になることが多いものです。
たとえば、ママが怒りっぽいタイプだった場合。
ずっと同じ調子で起こっても、ちっとも子どもに変化がなく、
逆に怒りすぎて子どもが不安定になってしまう…。
次第にこれでいいのかと考えるようになります。
そしていろいろな人に相談したり(私の電話相談もこれに当たります)、
本を読んだりして、なんとか解決したいと思います。
そして徐々に自分のやり方をマイナーチェンジして、
「怒る以外の方法」を取り入れることになります。
そうするとどうなるか…。
興味深いことに、今度はママがパパのやることを見ていられなくなります。
「なんで、こんなことで怒るかなー、この人」
「そんな言い方はないんじゃない?子どもがすねちゃうでしょ」
と、客観的にパパを見るようになるのです。
「パパが子どもココロ貯金を減らしてしまう、どうしよう!」
という危機感をもつのは、ママが子育て上級者になった証拠なのです。
では、具体的にどうしたらよいのでしょうか。
私は、そんなときのパパを、「自分よりも年上の先輩が中途採用で
入社したようなもの」と捉えればいいと考えています。
自分よりも年上だけれど、どうもこの業界では新参者らしい。
だから仕事は教えてあげないと何もわからない。
かといって、年下の私が頭ごなしに注意をすると、やっぱり頭にくるだろう…。
言わないとわからない、でも頭ごなしに言うと嫌がられる、
そんな面倒くさい関係です。
そんなパパですから、ママから頭ごなしに「あなたが悪い」と言われると、
カチーンときます。
だから、パパを変えようとしないでください。
まずはママが、子どもを怒らなくてもうまくやれることを見せてあげるのです。
「私の言うとおりにやりなさい」と言わなくても、
ママが子どもを楽しそうに「甘え」させていれば、
パパも「甘えさせてもいいんだ」とわかります。
パパが「お前のやり方が悪い」と責めることもあるでしょう。
それは、子どもが荒れた状態にあるときです。
子どもの様子がよければ、結果的にママのやりかたがOKだと感じます。
そして、だんだんとママのやりかたに巻き込んでいくといいでしょう。
これはダイエットと同じです。
一気にダイエットの効果が出た友だちを見ると、
「どうやったら、そんなにやせたの?」と関心をもつでしょう。
そして、友だちと同じダイエット法を試してみたくなります。
まずは、あなたがうまいやりかたができるようになり、
それをパパに見せて、だんだんと巻き込むわけです。
平均的に、パパはママより五年~十年ほども遅れて、やっと「親」になる
ようです。「イクメン」という言葉が定着し、
父親の育児参加が進んでいるように見えますが、一般的には、
子どもと接する時間が少ないだけに、パパは子育てがうまくなるのにも
時間がかかります。
そしてどうしても直してほしいことがある場合は、
パパを否定しないような伝えかたを心がけます。
「パパのやりかたは、悪くないと思うのだけれどね。
最近私は、怒るのではなくて、言って聞かせるようにしているの。
怒らないと、案外きょうだいげんかが早く収まるわ」
という感じです。人間は変えられようとされると嫌ですからね。
「あなたはいつも怒りすぎなのよ」ではいけません。
これを、極力パパが子どもと接する前に伝えておいてください。
じっくりではありますが、パパは必ず成長します。
結婚したての時は、どちらの荷台も余裕があります。
でもね、子どもがひとり生まれ、ふたり生まれる間に、
ママのトラックは積載量がオーバーしています。
その頃、ふとパパのトラックの荷台を見てみると、、、、
休日だけは隙間が空いています。
だから、「私の荷物も預かってよー」と思うんですね。
まあ、勤務日に仕事しているときのパパは、結構積載量オーバーですが。
そこは、ママの死角なので、わかりません。
家庭の中では、ママが社長でパパは従業員のようなものです。
社長は長期的展望に立って、子育てという経営を一生懸命にやっています。
会社(子ども)がつぶれるといけないので。
でも従業員のパパは、目先のことを考えます。
たとえ今、利益が出ていなくても、らくが出来たらうれしい、
さぼれるとラッキーと思います。
これは責任感の違いからくるもので、立場が違うのです。
そこは怒っても仕方がないので、お願いすることはきわめて
具体的に言いましょう。
5歳の子どもがわかる言い方がいいですね。
抽象的な言い方はよくわかってくれません。